都市住宅——-自然と「自然に触れ合う」大切さ
2019年1月30日[ケヤキの見える窓辺]
一昔前の長屋住宅では小さな専用庭付きのものが多かった。それだけ私たちは自然との関わり方を大切にしてきた。現在のマンションでは、接地住戸のみがかろうじて庭付きという形式が残っているが、その他の住戸では建物構造上それは望めない。
都心の小住宅では敷地内に庭を取れない家が多い。このような場合私たちが大切にしてきた自然との関わり方をどう調整していったらいいだろうか?どちらか一方選ぶなら、庭よりパーキングスペースを選択する方も多いと思います。狭い敷地でも何とかオシャレに自然との関わり方を大切にしたいと考える方もとくに若い年代の方に多いのではないだろうかと思います。
現在、都会の住宅では大気や太陽光、風と自然に触れ合う事がいかに困難であるか理解されやすいと思います。この自然に触れ合うということが大切であることはそれが自らの心の癒しにつながって社会とのつながりで疲れた心身を蘇らす効果があることが分かっているからだと思う。せめて我が家に帰ったらリラックスしたいと思う方がほとんどであろう。
しかしそれに応えられる家は数少ないと思う。性能や機能に秀でた家が多い中、このことに対応できるようにするにはかなり難しいことだ。なぜならそれは場合によっては、性能や機能を対峙してぎりぎりの選択を迫られる場面もあるからである。
大気や太陽光(直接光だけでなく間接光も)、風と「自然に触れ合う」ことの「自然に」ということが重要である。単に開口部を設ければいいというものではなく、その設け方に工夫しないと「自然に」ということは実現できない。ある意味効率や機能と相反してそのような観点からは無駄ととらえられかねない要素をもっている。幸いにも、私が家づくりのお手伝いをさせて頂いた方々はこのことに理解を示された。
私の家づくりでは、この点が重要で、家の形もこれらの調整の仕方で「自然に」形が決まっていきます。最初から、形からデザインされる建築家もいらっしゃいますが、私は違います。家の形はあくまで自然にきまっていきます。内部空間の形成も同じです。
※ 家内の陶芸作品に判を活けた