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職人さんの技量とハウスメーカー

2019年1月5日[ケヤキの見える窓辺]

一般の消費者の目から見てわかりにくいことですが、私たち設計事務所とハウスメーカーでは「職人さんの技量」について全く異なる立場にあります。

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私たちは設計を生業としていますので家を実際に造るのは職人さんの手に頼らざるを得ません。設計図をもとに職人さんの経験と技量により形にしていきます。したがって職人さんも努力して経験を積んで、腕を磨いていただかなければいい家は実現できません。

 

そういうわけで私たちは職人さんを育てていく環境を維持していく責務があります。私たちの仕事には技量のある職人さんが必要なのです。設計図のコンセプトを理解し実現するには簡単ではありません。設計図には材料の手配、加工の手順、組み立て方、必要日数、仕上がりの程度など図面には書きませんのですべて職人さんに委ねられています。

 

設計者と職人さんの信頼関係をもとに仕事をしていきます。そういう互いの信頼関係がないといいモノづくりはできません。

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一方、ハウスメーカーの家づくりの姿勢は大量生産により、できるだけコストダウンをして最大の利益を追求することです。そのためには万人を対象とした万人向きの家を追求してコストダウンを実現するための工法を考える。なるだけ職人の賃金を抑えて利益を確保するために経験のない職人でも短時間に加工や組み立てができるような工法を追求する。そこには職人さんとの信頼関係はなく単なる雇用関係があるだけです。ハウスメーカーからは早く加工組み立てができるように工法を工夫しているので、できるだけ安く仕上げてくれる職人がハウスメーカーにとっていい職人なのです。

 

そうしているにも関わらずハウスメーカーの住宅にはトラブルが多く発生している。その理由は、実際に仕事をするのはハウスメーカーの社員ではなく、町場の職人さんです。技量はそこそこでも安く早く仕上げてもらえることを基準に職人さんを選んでいるわけで、そこには職人気質や魂などは必要ないのです。したがって本当に腕の良い職人は集まらないのです。

 

ハウスメーカーは独自の工法、独自に開発した外壁材料の優越性を宣伝していますが、それはハウスメーカー内での自己検証評価にすぎません。安全性のための構造計算も第三者には公開せずにブラックボックスになっています。一方私たちが採用している構造計算は公に公開されたもので、毎年全国の大学の研究者や設計事務所、国土交通省、建設技術者などにより勉強会を開いて常にバージョンアップされている信用度の高いものです。

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家というものはそれぞれ個々の住み方や廻りの環境によって異なったものになるのが当然です。それは決して万人向けのモデルにはできません。私がお手伝いさせていただいた住宅もRC造、鉄骨造、木造、混構造と様々です。それぞれ打ち合わせさせていただいて最適な構造を求めて実現したものです。それも職人さんとの信頼関係の上で実現できたものなのです。

※ 写真は金井の陶芸作品

 

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