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中古住宅を福祉施設等に改修 問題点

2016年9月3日[ケヤキの見える窓辺]

中古住宅を改修して福祉施設に改修する場合の問い合わせがあります。役所で改修計画を相談すると「建築士に調査してもらい安全性を確認してもらうこと」といわれるからだと思う。

 

計画自体にはもちろん協力させていただきたいと思いますが乗り越えなければならないハードルはかなり高い。ここのところを事業される方に理解していただきたいと思います。

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 事業者としては福祉施設など第三者に利用してもらうためにはまず建物の安全性について責任を持たなければならない。許認可を担当する役所も同じです。一般の方は建物の安全性については判断できないので建築士など専門技術者に調査を依頼するのは当然の成り行きです。

 

 では建物の安全性はどのように確認するのでしょうか?また現況では安全性は確保されないが耐震改修などを実施すれば安全性を確保できる場合も多い。一番確認しやすいのは現況の建物が建築確認申請をして完了検査済み証もあり関係する書類も残っている場合である。さらに築年月日が新耐震に法改正された以降の建物であることです。この場合は改修計画を確認申請図面などに照合して安全性が確保できるかどうかを検討すればよい。

 

建築確認を受けていても完了検査済証がない場合は建築確認申請図面通りに建てられてない場合が多いのでその原因を調べてそれに応じて調査を実施しなければならない。建築確認申請図面と現況が異なる場合は現況図面を新たに作成し、現況の耐震壁などの位置確認を行い改修計画に合わせてその耐震性能を検討しなければならない。また仮に確認申請を受けていてもその図書(副本)がない場合はさらに建物の安全性の確認が困難になる。まず現況建物の測量調査を行い図面作成を行い、同時に小屋裏や床下にもぐって現況建物の構造の状態、耐力壁の位置や状況を確認していかなければならない。現況建物の状況が確認できたらその情報をもとに改修計画の安全性を検討する作業に入る。この過程で耐震改修を実施しなければ建物の安全性を確認できない場合がほとんどである。

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建築確認関係、完了検査などの情報や書類がない場合は現況の建物の状態を示す情報はなにもないわけなので一から調査をして検討してゆかねばならない。準防火や防火地域なら防火性能などの確認も安全性のためには必要になる。サッシの改修も必要になるし、外壁、軒裏などの外部に面するところも改修を必要になることもある。基本である接道の条件も満たしていないものも中にはある。

 

問い合わせを受けた時に確認申請や完了検査済などの有無情報を真っ先にうかがうのはこのためである。これらの手続きを経ていない建物については事業として実現するためには多くの費用も時間もかかることを覚悟しなければなりません。事業を計画されている方の多くがこの辺を理解されていない場合が多い。

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現況の古い建物の再利用を試みることは大切なことではあるがきちんと利用して利益を確保できるにはかなりハードルが高いことは理解しておかなければならないでしょう。

 ※写真は郡上八幡の街並み

 

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