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熊本地震地震で私たちに突き付けられた問題点

2016年6月8日[ケヤキの見える窓辺]

私たちは自然災害のたびに新たな問題が提起され何とかそれを克服しようと努力してきた。今回の地震で私たちに突き付けられた問題は今まで地震は震度7クラスの揺れに1回耐えることを目標にしてきたがそれが大きな時間のインターバルを置かないで複数回来ることがわかった。詳しい調査の報告を待つべきだがどうやら新しい耐震基準で建てられた住宅も大きな被害を受けているようだ。

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いままでは震度7の地震がきても崩壊しないで住まわれている住人の命を守るべく耐震基準が設けられてきた。しかし短いインターバルで同規模の揺れがくることは想定外のことであった。私たち家づくりに携わるものにとって新たな課題が突き付けられている。

 

地震がきて建物に被害を受けても命だけは救われるのでつぎの地震に備えて補修したり建替えしたりする方法が選択できたがほぼ同時に同規模の揺れが複数回きたらほぼすべての家は破壊され命の危険にさらされることになる。

 

世界に冠たる地震国に住む私たちは一生のうち地震に遭遇することは日常的にある。それでも大半の人が寿命をまっとうできる事実は家を破壊するような大きな地震はそうそう出くわすことはないからである。これからの家づくりのヒントはここにある。大きな地震が複数回きてもその揺れを安全な揺れまでに減衰させることにある。

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大規模な建物にはそのような装置を設置することは以前にくらべて多くなっているがこと住宅については採用されることはほとんどない。理由は簡単でそういう装置はあってもきわめて高価で一般の人の手の届かないものであった。

 

しかし今回私の事務所が工事中の住宅に免震装置を採用した。理由は二つある。一つは機構がシンプルで設置にも特殊な技量はいらない上価格もリーゾナブル。もう一つは実際の地震で実証されたことがあり、急遽施主に説明して費用も提示して採用することができた。タイミング的にちょうど基礎コンクリート打ちの段階でうまく対応できた。運がよかったと思う。タイミングがちょっとでもずれていれば採用はできなかったと思う。熊本地震がなければ実証されずやはり費用もかかるので採用されなかった可能性が高い。

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私の事務所ではとくに木造住宅ではこの免震装置を標準装備していく覚悟である。命を守れても家という不動産は一般人にとっては非常に高価で修復や建替えなどそうそう負担できるものではないからである。もう一度復習してみよう。震度7クラスの地震に遭遇することはまれであるが命は救えても被害は大きく後の人生設計にも大きな影響を受けることは避けられない。またその大地震もほぼ同時に複数回くることが初めてしめされたのでその場合は命の救済さえままならない。少々費用はかさむが後のリスクのことを考えれば私はこの装置を設置することを躊躇なく選ぶ。阪神大震災に遭われて何とか持ちこたえたものの次がくれば確実に壊れてしまうなあという被災者のつぶやきに同情するしかなかったがこれから新築される方々へは大丈夫と励ますことができそうだ。

※写真は川越の街並み風景

 

 

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