ワンランク余裕のある間取りはいかがですか?
2015年1月20日[ケヤキの見える窓辺]
昔から関西に住んでおられて東京に引っ越した方はご存じかと思いますが同じ6畳間といっても随分狭く感じられた経験はおありになるのではないでしょうか。それは歴史を見ると理解できます。
京都を中心とする地方では応仁の乱(1467~68)のあと焼け野原になった京都の街並みを復興するために大量の木材などの建築資材が必要になり一間の規格を六尺五寸に統一したので、そこから畳の長辺(幅)が六尺三寸(約190.9cm)に決まりました。この寸法による畳を京間といい、関西を中心に西日本各地で用いられている。それに対して関東では、江戸時代に入ると一間が六尺、畳の幅が五尺八寸(175.8cm)とする江戸間(田舎間)ができた。その背景には徳川検地と関係がある。はじめは一間六尺五寸の京坪で測っていたのを検地の時に一間を六尺としてしまった。そうすると日本全国の坪数が増えて、年貢を余計にとることができるということがあった。江戸の町は当初六尺五寸で都市計画を進めていたのに、終わりに近づいた浅草界隈では一間が六尺になっている。
さらに名古屋の周辺では、京間と江戸間の中間、畳の幅が六尺(181.8cm)の間(あい)の間が標準になっている。
余談ですが江戸間よりさらに小さい団地サイズがあって、幅は170cm。公団住宅で使われ始めたのが起源です。建売住宅では団地サイズを使っているのもあり、団地サイズの6畳は京間の約4.8畳にしかないことに要注意です。
さて現代では住宅を新築するときには一間を6尺にした江戸間が主流でそれに伴い建築資材、特にボード類やビニールクロスなど910幅のものがほとんどである。しかし京間のモデュールに慣れ親しんだものにとって何か物足りない感じがするのは否定できない。そこで現在に流布する建築資材の規格品を使って京間を実現できないだろうかという課題に設計事務所としていま取り組んでいます。
現代の標準の住宅に慣れ親しんだものにとってわざわざそこまでする必要があるのかと思われるかもしれませんがそういうニーズがある以上満足させるよう努力するのが設計事務所の役割と思いいま挑戦しています。
910@に慣れ親しんだ現代人にとってワンランク余裕をもったゆとりの間をもった家にお住みになるのはいかがでしょうか。
※写真は小樽の歴史検事ウ物