とりあえずのマイホーム
2019年4月20日[ケヤキの見える窓辺]
マイホームを手に入れたいと思う方は多いと思う。自分の身を振り返ってみても新婚当初はアパート暮らしが始まりでした。住んでみると、上下階の音が容赦なくよく入ってくる、玄関扉を開けてすぐにLDKの間取り、2階に住んでいたがバルコニーはなくクーラーの排水が階下に落ちるのでバケツで受けていた。真夏はクーラー水の処理が面倒くさいなど新築のアパートであったが真冬には台所の換気扇が逆回転して寒気が室内に入ることもあり、居心地が悪く不満が溜まっていた。
近くに大規模な街づくりが進行していて、第一期のマンションの募集があり申し込んだ。これが最初のマイホームであった。まだ地下鉄は開通うしていなかったので駅まではバスで通勤した。廻りの自然環境はすばらしく車道とは交差することなく散歩ができた。マンションの間取りも大手の設計事務所の手になり、事前に室内確認もできたので不満はなかった。やっとアパート暮らしの不自由さは解消できた。
現在のマイホームはやはり大規模開発された街の戸建住宅エリアに住んでいる。当時設計事務所に勤めていてマンションの設計は多数手掛けていた。マンション住まいの経験や設計を通じてマンションの限界は知っていた。そのため戸建住宅を望んだ。ハウスメーカーの戸建も多数見学した。大規模開発のメリットは家の周囲の外部環境が物件によっては豊かにできる可能性がある。自宅の周りは水路がめぐらされ地下水をくみ上げた新鮮な水が放流されている。その流水音が楽しめる。家の前の道路は道路巾7m以上もあり、臨時の駐車も気兼ねしないでできる。家の前の道路を隔てて公園があり、四季の変化を家から楽しめるなど。また家の中にいて空が見え雲の動きも手に取るようた。残念ながらハウスメーカーの一般の住宅団地ではこのようなことは経験できなかった。ただ道路を隔てた向こう側の戸建住宅は大手ハウスメーカーの手になるものであったがその外構計画は有名建築家の手になるもので、私も散歩するたびにその良さを体験させてもらっている。近くにあるマンション群も優れている。設計したのは大学でも直接教わった恩師でした。マンションの配置、陰影のある自然になじんだ外観や優れた外構計画は秀逸です。飽きることはありません。
家づくりのお手伝いをして30年近くになります。ほとんどが既存の街中にある戸建住宅や賃貸マンションです。古家の全面リフォーム計画も何軒か実施しました。現在の事務所は自ら設計監理したものです。築20年以上経過していますがまあ合格点がもらえるのかなあと思っています。ちょうど中庭のケヤキの新緑がまぶしい季節になりました。
戸建住宅も土地の購入から関わったものもあります。素人の目線ではなくプロの目線で判断させてもらったものには違いがあると思います。マイホームは私たちの一生のうちで大きな買い物になるので。責任重大ですが。
マイホームはとりあえずでもいいと思います。100%完全を望む余り大切なものを見失うこともあり、大きな決断にはなりますが、逆に肩の力をぬいて気楽な気分で決断する方がいいような気がします。
※ 写真は浅香のつつじ