4月1日から改正宅建業法が実施——本格底なインスペクションが開始
2018年2月17日[ケヤキの見える窓辺]
固い話で申し訳ありません。平成28年6月に成立した改正宅建業法では既存住宅流通市場の活性化を図る観点から、インスペクションの活用促進を通して売主・買主双方が安心して取引できる市場環境の整備を目指した。
具体的にはどういうことなのでしょうか?既存住宅の主要構造部・防水部分に関する一定のインスペクションを建物状況調査として法律に位置付け、売買の仲介を行う宅建業者に対し、売主又は買主との媒介契約時に建物状況調査を実施する検査業者のあっせんの可否を示すこと。一定期間内に建物状況調査が行われた既存住宅が取引される再には調査結果の概要を買主へ重要事項説明すること等を義務付けることとされた。実施は今年度の4月1日からとされている。
要するに今までの中古住宅の売り買いのことを考えると買う側からは建物の構造などの安全性や雨漏りの心配などがよくわからないことや売る側にとっても果たして建物の安全性に不安があったり、本人が気付かない雨漏りなどの不良個所があって売ってからクレームがついてトラブルにならないかなど不安があった。これらがあると売買取引が促進されないのは当然ですね。そこで専門の技術者がそれらの調査を実施して状況を報告書にまとめ、それを売買の際に提示して売買の判断材料にしてもらうということです。
ここで重要なことはインスペクションの公平さです。いままでの売買でも買う側は業者から「調査済みの物件ですので安心してください」ということを言われて購入契約をしたが
何か不安でという相談を受けたことがある。ここで大事なのは調査がどのような立場のものがどのような検査を実施し、その報告書をどのように作成したかということです。相談のあった事例では「調査したとあったが言葉だけで報告書は開示してもらっていない」また報告書自体もどのような立場の者が作成したのか不明であり、業者の単なる下請けで調査を請負い、業者との癒着のなかで公平な調査及び報告書作成にならない場合もあった。
業者とは利害関係のない第三者の設計事務所の建築士などの専門家が誠実に調査を行い公正な立場で報告書をまとめることが最も大切なことであることはお分かりでしょう。住宅の場合は実際に設計したことがない者がインスペクション調査することは調査の信頼性のレベルに疑問が生じることです。以前どこかの調査専門会社の社員が作成した報告書を見たことがあります。一目でこの人物は実際家の設計監理をしたことがないことがわかりました。1級建築士の資格をもっているもののうち実際に設計・監理に携わっている者の割合は10%にも満たないことも承知の事実であることもわかっていただきたいと思います。
※ 写真は和束町の茶畑風景