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白河の清きに魚もすみかねて——

2018年1月6日[ケヤキの見える窓辺]

この狂歌は誰もが学んだ江戸時代の歴史に出てくる有名な狂歌である。これに類似した現象が今瀬戸内海で起こり始めているという。瀬戸内海はかつて赤潮などの環境汚染から非常に厳しい瀬戸内海の排水規制が法制化され現在に至っている。

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私たち建築設計に携わるものにとり、瀬戸内海に面する地域では建築を計画する場合はこの厳しい排水基準の制約を受けることになった。敢て厳しいという言葉を使ったのは以前に比べてかなり厳しい基準を建てられたからである。そのおかげで瀬戸内海の赤潮などによる環境悪化は止めることができた。

 

しかし現在瀬戸内海で漁をするものにとり—-近年になって漁獲量が著しく少なくなっいる—-ということを危機感を感じるという。どうも「海の力が弱っていることが原因だ」とある大学の研究者は述べる。魚のえさとなるプランクトンが減っているという。プランクトンのうちその底辺を占める植物性プランクトンの減少が著しくそれらを食べる動物性プランクトンも同時に減少しているという。そのため動物性プランクトンを食する魚が減少しているのだ。

 

植物性プランクトンの減少の原因はそれらのえさとなるリンや窒素などが減っているからで、もうお気づきの通り瀬戸内海の排水規制により以前は豊富にあったこれらのものが減少したためであるとされた。現在その対策としてこれらの不足するリンなどを海に放出する試みがなされているという。

 

魚にとってはきれいすぎる瀬戸内海にはどうも住づらいのだ。かといって赤潮の発生する海にも住みづらいのだ。私たちは瀬戸内海の環境悪化を見て環境保全のための規制を作ったが魚にとっては完ぺきなものではなかったようだ。結果的には環境保全というものにとって一部しか保全できなかった。私たち人間が考えるものは自然に対して射程の短い狭い論理に陥りがちでそのことを考慮に入れて謙虚な気持ちになった常に自然環境に向き合わないといけないと自然から警告された。

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まだイエローカードだと思うが放置するとレッドカードになり取り返しのつかない事態を招くかも知れない。私たちが自然から恵みを受け自然と共生していくためには常に謙虚な気持ちが必要で愛情をもってこの地球の環境にむきあっていかねばならない。そうでないとこの豊かな自然から共生を拒まれることになることを肝に銘じておかねばならない。

 

地球温暖化についても同じことが言えるのだろう。私たちは常に地球に住まわせていただいているという謙虚な気持ちを忘れてはいけないということなのだと思う。

※ 写真は家内の陶芸作品に庭の野草など花を生けたもの

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