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それでも気になる家相

2015年2月21日[ケヤキの見える窓辺]

私自身家づくりのお手伝いをするのを生業としていますので、なかには家相に関する相談もあります。私自身家相は迷信だと思っていますがこれまでの人生の中での様々な出来事やお付き合いさせていただいた方からいだだいた情報などから完全には否定はできないのではないかとも考えています。

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家相はもともと中国でのいろいろな伝承をそのまま我が国にもってきたものです。中国と日本では気候風土も異なるので、環境工学も含めた近代建築学を学んだものとしてはそのまま適用できるはずもないと思います。しかも中国から来た家相を時間をかけて日本に融合させてできた日本流の家相も秀吉の朝鮮征伐の後途絶えてしまいます。

 

それはご存じのように陰陽寮の占い師を総動員して戦いに挑んだ秀吉は朝鮮征伐で負け、その敗因を陰陽師に押し付け、関係者をすべて遠島の刑に処した。しかもその占いの本を全部焼いて捨ててしまったのです。したがって現在の家相の虎の巻は江戸時代に復活した占い師たちが先祖から受け継いだものは何もなく、そのとき明から亡命してきた中国人の家相の本を借りて(丸写しして)作ったものなのです。したがって日本の気候風土等による適応する十分な時間もなく現在に至っているのです。

 

私が居場所にする京阪神地方も季節風一つとっても、大阪の夏は西風、神戸の夏は南風、夕方になると北風、京都の夏は東風という具合にその土地土地の徴気候が異なります。中国大陸とは全く異なるのです。

 

家相に疎いものにとっても「鬼門」という言葉を聞いたことがあるでしょう。方位で言うと東北を指しますが家相の上ではトイレなど配置しないように言われています。中国においては鬼門の方向は外敵がたびたび侵入してきた方向だし、大地の果てにあって、万鬼の出入りする門といわれたり、世界の崖(はて)だと指された書物も中国にあります。その伝承が日本にそのまま伝わったものです。

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建築学からみると鬼門(東北)は水気を嫌うが、確かに家の東北にあたるところは、冬北風が強く吹きつけ、日当たりもよくありません。しかしこれは家を建てるさいの工夫でいくらか解消はできるのです。

 

また家の鬼門方向を決めるにあたって家の中心を決めねばなりません。この中心の決め方があいまいで胡散臭いのです。パソコンを開くことができる人はインターネットで検索してみるとこの家の中心の決め方にも異論があることがわかるでしょう。一つのやり方で家のトイレの位置が仮に鬼門にあたったとしても他の中心の採り方をすれば外れることがわかります。また北の方向も磁北と真北があるのをご存知でしょうか。磁北の方が稚内では約九度三八分、大阪では約六度二十分、宮崎では約五度一五分も西へずれています。占い師によっては磁北、真北を採用される方がまちまちです。

 

家の中心の決め方、北方向の磁北、真北の採り方によっては鬼門の位置がずれてしまうのです。気になる方は磁石を平面図上において移動させてみてはいかがでしょうか。また正中線や四隅線(東西南北やその四五度振った線)に関する家相の記述も同様です。

 

鬼門のような、すべてにわたって凶の方角を示したのは「人生においても、すべてよいことばかりではない。よいことがあれば、必ず悪いこともある」という凶に対する心構えを教えているのではないでしょうか。吉、大吉を100%狙うのではなく、吉凶相半ば、凶もあるがほんの少し吉が多い小吉が一番平安な人生のように思われます。

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これまでの考えは学生時代に直接生の声を聞かせていただいたS先生の教えがもとになっています。それがなければ家相に対してもっと右往左往していたことでしょう。先生のご自宅も家相にに反して家のど真ん中に階段を設けたのですが主人が短命だという家相の言い伝えに反して長寿を全うされました。

 

最後に、日本には古い習慣があり、尊重されてよい習慣が残っています。それはそれで尊重されていくほうが私はよいと思います。そういうことも含めて、家相というのは迷信かも知れないけれども、そういう習慣、自分がどうしてもそうしたいと思われるのはやはりそういう習慣なのでそうされればよいと思います。

 

建築計画の方でも家相のつくられたころに比較すると著しい進歩を遂げています。家の東北の位置にある部屋にも南からの採光も可能です。住みよい家が家相のよい家だと私は確信します。

※ 我が家の雛飾り

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