小住宅の縁側?
2022年3月28日[ケヤキの見える窓辺]
ちょっと昔のドラマなど見ていると庭に面している部屋には縁側がある。夏はそこでスイカを食べたり、下足に履き替えて庭に出て土をいじったりしている場面が出てくる。冬は縁側の建具を閉めて、部屋の建具も閉めて二重にして寒さをしのいだ。現代では建具の性能向上、気密性の向上などがあり、また住宅の面積を有効に使うために縁側は都会から姿を消してしまった。
私は都会の小住宅にこの縁側のメリットを生かした家を設計した。廻りが3階建ての密集住宅で囲まれているが、この縁側の要素を生かした小空間を各居室に接続させた。部屋の空気を取り入れるさいには道路側に面した窓を直接開ける必要はない。この道路側に面した小空間にある窓は常時あけられているのでこの小空間に面した部屋の窓を開ければ外部の空気を取り入れることができるようにした。窓を開けているにもかかわらず外部からの視線も直接受けることなく新鮮な外気を取り入れられる。都心の密集地では部屋の窓さえ開け閉めするのは煩わしい。
この住宅にはバルコニーはない。あるのはこの小空間だ。開口部を閉めれば室内になる。物干しもこの小空間を利用する。屋根には開け閉めできるトップライトを設けていて日当たりもよい。人目を気にして洗濯物を室内で干す必要もない。
外部の騒音もこの小空間があるのである程度緩和できる。人目をあまりきにせずに居室の窓を開けることができるので生活も快適だ。