ものとの対話を大切にする家づくり
2014年6月28日[お知らせ]
ものの造形につくり手が自らの心を込めるとき使う人にもその思いが伝わるはずです。ものには人の思いが込められている。ものを友のように大切に感じ、同じ目線で大事に扱っていけば愛着が沸く。そしてものが人に寄り添い、生き生きとしてきます。
私は建築(家)の設計を生業としてきましたので、もの=建築(家)としてさきの考えを忘れないようにしてきました。
いま私が危惧するのはものと心のかかわりが薄れてきたことです。消費社会でものに対するおごりが出てきたのか、人間がものをまるで奴隷のように考え、使い捨ての対象としてとらえる発想が強まっています。
私たちものをつくる側にも責任の一旦がないとはいいません。古い街並みに出会ったときのあの何か懐かしいほっとした気持ち。私たちのこころは外壁や格子、建具、屋根、土間・・と気づかずものと対話している。
新建材といわれるものが世の中にあふれていますが心が通じるものは皆無だ。長持ち、安い、高性能、効率が良い・・・などの文明的な発想で造られたものに心は通わない。家の造形も同じ発想から造られたものがあふれ街並みに味わいも、深みもない。作り手の心が伝わってこない。
そういう家に限ってなぜか広告などに「個性」を強調するが唱えれば唱えるほど没個性になっていくのを感じるのは私だけだろうか。
ものとの対話のできる家は当然自然との対話もできる家なのだ。我が国の伝統は自然やものを大切にし、感謝する関係から育まれてきた。決して効率からは生まれない。
※写真は家内のきものをリフォームした作品