マイホーム—-新築ではなくリフォームという選択
2017年8月18日[ケヤキの見える窓辺]
来年四月から中古住宅についてこれまでとは違い、専門家による調査によって客観的な評価が付けられることになった。義務ではないですが希望されれば住宅の現況の状態の評価が第三者の専門家(建築士)の調査を経て実施される。これまではこれといった中古物件があってもどの程度の価値があるのかさっぱり見当がつかなかった。築年数や外観の状態をみて大雑把に判断するしかなかったが、より確かなものになるので俎上にのせて様々な検討が可能になる。
一番の関心は住宅の安全性だと思う。見た目はそこそこに見えるが果たして安全に住むことができるんかはわからない。詳細な調査をしないでどういう手法を使って確認するのだろう。
一般の方の家選びの基本はまず、その住宅の建設された年月日が新耐震の基準以降のものかどうか、確認申請書と検査済証はあるのかどうか、さらに地盤調査や地盤改良の記録が残っているのかなどの確認である。建築確認済証と完了検査済証があれば着工前の申請手続きの中で地盤の状態は検査機関に確認されている。さらに確認申請の済証が昭和56年6月1日以降に受領したものなら新耐震基準に則って建てられた家であることがわかる。また、リフォームにより耐震性を確保させたものはその書類を確認することで耐震性の確認となる。
専門家による調査も耐震上のチェックの基本は以上の種類審査になる。それがないと詳細調査(別途費用)を実施しないと判断できない。それで耐震性に問題があれば改修を行うことにより安全性を高めることができる。購入するときにこの費用を前もって見積もることができる。
防水上のチェックもかかせない。雨漏りの補修は費用がかさむ場合が多い。仕上げに隠れて原因箇所を究明するのが困難で費用がかかる場合が多い。雨漏りなので当然外部に侵入個所がありその特定に手間と費用がかかる場合がある。これも専門家による調査で室内と外観の目視確認だけだが雨漏りの有無はほぼ確認できる。
RCの躯体にクラックが発生しているものも多い。表面上のヘアークラック程度なら防水上は問題ない場合が多いが、0.5ミリ程度のクラックは内部の鉄筋に発錆などの悪影響を及ぼすのでNGである。またエフロッセンスという白華を伴うものもあるがこれは内部に水が侵入している証なので要注意。タイルの目地などからも白華が見られるが躯体からのものでない場合もあるので現場で見極めが必要である。
設計事務所にリフォームを依頼される場合は私の事務所の例では設計作業に入る前に詳細な調査を実施する。来年4月から実施される一般の調査よりもっと詳細な調査を実施している。たとえば昭和9年に建築された住宅などは主な目的がバリアフリーであったが当たり前のことですが構造の詳細な調査を実施し耐震性向上の設計をした上でバリアフリー設計を実施している。なによりもまず安全性が一番だ。
※ 写真は屋久杉