頻発する異常気象など災害に備える家づくり
2017年7月19日[ケヤキの見える窓辺]
近頃気象が変だと漠然と思いを持つ方が増えている。このような状況の中家づくりを計画されている方にとって気を付けるポイントがある。
昨年の熊本地震では震度7の地震が初めて複数回それも比較的短期間におきた。いままでは一生に一度遭遇するかもしれない大地震を想定して耐震性を考えていればよかった。今までの耐震基準はこの一度限りの地震を想定して決められていた。阪神大震災で被災された知人は「何とか持ちこたえたがもう一度きたら確実につぶれるなあ」と嘆く。私も熊本大震災以後の家づくりではこの震度7クラスが複数回きても持ちこたえて、最小限の損傷で済ますという目標を立てている。昨年完成させた住宅では免震装置を初めて採用した。
当事務所で実施する木造の個人住宅では免震装置を設置することを標準と考えている。地震に抵抗して耐える家よりは地震の揺れを小さくする方法をとる方が安価で損傷も小さくて済む可能性が高い。今までは工事費の半分ぐらいもかかる高価な免震装置しかなかったがやっとリーゾナブルで効果的な商品がでてきたからである。
住宅は大半の方が長期間のローンを組む。返済期間の途中で大地震がきてなんとか耐えたとしても損傷も大きく補修費が多額になる場合が多い。再度地震が来襲する不安を抱えて生活していくには厳しいものがある。ということで震度7を震度2~3ぐらいに低減できれば複数回の地震にも耐えられることはみな経験していることだ。
最近都心で大きな雹(ひょう)が落下して屋根やガラスを破壊したことが報道された。雨風とともに襲来するので屋根やガラス窓が割れれば家の中は悲惨な状態になるので予算にも影響するがポイントのところは被害を少なくするように備えておかなければならない。
敷地についてもあちこちで起こっている豪雨災害を教訓に慎重に選ばないといけないと思う。長いローンを組んでも家が消滅してしまうことだって現実には起こっているのだ。川の近くは景観が優れていて人気が高い。我が国の地形ではその川に山が迫っていることも多い。
昔からいわれていることだが敷地を選ぶにはその土地の歴史を調べることである。しかし最近では調べることも困難になってきている。土地の古老の話もきくことができない。一番簡単な方法ではその地名がある。たとえば「滝」という字の付く土地では土砂崩れが発生していることもある。「尾先、谷口、宮の前」といって山の尾根先の崖下や谷の出口、神社の門前に住むのを家相では戒めている。新興の造成地も要注意です。すべて悪いわけではありませんが中には悪徳業者もいるので要注意。
いくら良い免震装置を設けて家の損傷はないが敷地が破壊されて住めなくなったケースもある。東北地震では仙台市の古い造成地で大きな被害が出た。また浦安市での液状化による敷地の被害も忘れない。当事務所で免震装置を設置した住宅も敷地は傾斜地であったが地盤調査を実施して地山(切り土)で地耐力も十分であることが判明した。地盤保証も付く敷地であった。
局地的な竜巻や津波など抗うことができない自然災害もあるが家は長期にわたる不動産なので備えは十分しておかねばならない。
※ 写真上からマンションのリフォーム例、免震装置を設置した木造住宅、外断熱・省エネを実現したオール電化のRC造住宅