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中古住宅市場の活性化への試み

2017年7月12日[ケヤキの見える窓辺]

わが国の中古住宅の流通市場の特徴は諸外国に比べてシェアが極端に小さいことだ。アメリカでは83.1%、イギリスでは80.0%、フランスでは68.4%と軽く半分を超えている。我が国でも新築住宅の着工件数が減っているので中古住宅の流通はほぼ一定であってもその割合は近年上昇しているがそれでも14.7%である。

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これには我が国の慣習も一役買っている。それは住宅を手放すと際に、更地にして売り渡すか、買主が住宅を除却して新築することが一般的なためだとされる。

 

しかし最近では新築住宅の建設コストが上昇傾向にあること、若年層の所得の上昇が追い付いていないこともあり、若年勤労者の消費支出に占める住居費の割合が一貫して拡大傾向にあることなど踏まえて中古住宅をリフォームすることの有利性が検討され始めている。

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ただ中古住宅を購入するにしても今までは家の劣化の程度に関する情報は皆無であった。そのため第三者の専門家(建築士で講習修了者)による建物状況調査として法律で位置づけられ、たとえば宅建業者の媒介を通じて中古住宅を購入する際には依頼者の意向に応じて建物状況調査を実施し、重要事項説明のさいに買主に対して説明することが義務づけられた。

 

しかし、この調査はあくまでも建物の劣化事象の有無を調査することを目的とし、その住宅の建築基準法関係法令の適合性の確認や、耐震性や省エネ性能の程度を判定すること、住宅の構造耐力上主要な部分等への隠れた瑕疵の有無の判定や瑕疵がないことを保証することを目的としていないことは理解しておくべきである。

 

その為に担保となるのは建築確認申請と完了検査済証などの手続き書類と検査書類がそろっていることが最低条件である。それらがない物件に対しては相応のリスクがあることを理解しておかなけらばならないでしょう。また自らが売主になる場合がきてもそれらの書類がないために大きなハンデを負うことになることを覚悟しておかねばならない。

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また買主保護のために既存住宅売買瑕疵保険があるがこれは住宅の構造耐力上必要な部分の隠れた瑕疵を保険の対象とするもので対象となる住宅が新耐震基準を満たしていること、調査で劣化事象がないこと、(通常家具などを置いてあったり、天井点検口がないためその部分は調査できない場合があるが)調査できなかった箇所がないという条件を満たす場合のみ保険加入できる。そのため新耐震以前の住宅は当然入ることができない。

※ 写真は北陸の山中温泉を旅行したときのもの

 

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