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鶯とヒト——発声を学習する?

2017年4月29日[ケヤキの見える窓辺]

春もたけなわ。私の家の散歩道では鶯のさえずりをよく聴く。ホーホケキョとさえずるものもあればたまにちょっとくずれたさえずりを聴く時がある。深い山道を歩いているとき鶯のさえずりが響き私も口笛で応える。こちらの口笛が終わるのを待ってさえずるように口笛の音色をきちんと確かめるように間合いをとるような不思議なやりとりだ。

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鶯やひばりは鳴禽類に属し、オウムや九官鳥などと同じでさえずりは学習して会得していくという。鳥類のほとんどが生まれながらにして鳴き方を憶えているのに。私も「謡」を習っているが、まず師匠が発声したあと、その発声パターンを記憶に残し、それを頼りにその音声パターンを自ら発声し、聴覚を介してフィードバックして自分の音声を修正していく。これを繰り返すことによって徐々に記憶した音声パターンに近づいていく。鶯やひばりもどうも同じことをしているようである。

 

このような方法で声の出し方を学習する動物はヒト、捕鯨類、コウモリ類、アフリカゾウ、オウム/インコ類、ハチドリ類と鳴禽類に限られている。

 

これに対し他の動物は生まれながらにして鳴き方を知っている。実験動物として広く用いられているマウス、ラット、サルといった動物も生得的な発声しかしないのだ。

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人間の子どもが、他の人間の声や話を聞かずに育つと、自分の声を正常に発声することができないように鳴禽類も、同じ種類の成鳥がコミュニケーションの信号を発するのを聞いて初めて、自分の声を使うようになるのだそうだ。さまざまな筋肉系統のじつに複雑な巧みな共同作業によって初めて発声できるわけで、このタイプの鳥の脳領域は、人間が発声を学習するための脳構造と似ている可能性があるといわれる。

 

美しいさえずりを聴かせて私たちを和ましてくれる鶯だがそのさえずりを獲得するまでどれだけの学習を重ねて会得したのだろうか?またあの全身全霊でさえずるように聴こえる鶯は私たちに一体何を伝えようとしているのだろうか?

 

※写真は家内の陶芸作品

 

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