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家づくりのススメ

2016年7月6日[ケヤキの見える窓辺]

建築の設計を生業としてほぼ40年。その間皆さんの家づくりのお手伝いをさせていただき少しはお役に建てたのではないかと思い、これから家づくりを計画されている方々の参考になるかと思い筆をとりました。

 

現在は30代そこそこの若いご夫婦の家づくりのお手伝いをさせていただいています。また二世帯の住宅やお体の不自由な方のための古家の全面改修、独身女性の住宅などさまざまなお手伝いさせていただきました。

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家づくりとはまさに字のごとく「できた家を購入すること」や「家の形態がほぼ決まっていてあとは間取りの打ち合わせなど簡単な打ち合わせを数回して家を建てること」ではありません。最終的には家の形になるわけですがとくにそのできていく過程がもっとも大切だと思います。

 

まず家づくりのコンセプトをまとめて行かなくてはなりません。私の恩師はコンセプトは妊娠のようなもの(conceiveの語源は妊娠するを意味する)でじっくりと時間をかけてあたためてようやくでてくるものだと言われましたがまさにそのとおりだと思います。この時間が苦しい時間でもあり、また楽しい時間でもあるのです。このコンセプトが固まれば家づくりの大半は終わったも同然であとは技術的に検討してまとめていくことになります。

 

あまり抽象的な話でよくわからないかもしれませんので現在着工した物件について具体的にお話します。私の時代と異なり現代では夫婦でともに働くことが一般的になってきています。このご夫婦もそういう生活を前提に家づくりをめざしました。ご夫婦ともお子さんを大切に育て家族みんなで明るい家庭を築くことを希望されていました。私の方はお父さんとお母さんを中心に大屋根のもとに家族全員が一緒に暮らしていくこと、そうはいっても互いの独立は大切にし、個人のプライバシーも守りながら互いに思いやり、尊重し合える空間をお望みになっていることがわかり、それを具体的な形にしていくのが私の仕事でした。

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私は家の中心に父母をイメージする大黒柱を2本設け、それを中心に大屋根がかけることをイメージし、家族の個別の部屋からはこの大屋根の下の広々とした天井空間を眺められることを意図して廊下などの間仕切り上部をガラスとしました。夜明かりをつけていればそれが外部にあえて漏れることを意図しました。これは家族の誰かが夜遅くまで起きて勉強していたり、調べものなどしていることなども他の家族がそっと見守ることができるように家族の気配がそって伝わることを意図しました。トイレや洗面室も同様で間仕切りの上部はガラスで覆い、プライバシーを確保しながらも家族の存在をそっと確認できる形をとりました。光源も自然光を根本的に活用しました。個室群がある2階は昼間は自然光だけで照明を使わずに生活することを意図しました。屋根には中心部に大きな三角屋根を設け、そのトップライトからは夏には直射日光を防ぎつつ明るさを確保し、冬には直射日光が家中の奥にも入るようにしました。そのため1階には三角屋根下に吹抜けを設け、三角屋根からの柔らかい光が1階にも到達するように工夫しています。2階には個室群の他に家族みんなが集まれる図書コーナーを設け、テレビや本をここでみるようにしました。もちろん床暖房付きです。

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この家では太陽パネルを設置するわけでもなく、燃料電池などの省エネ機器など導入していませんので一般のいわゆる省エネ住宅ではないかもしれませんが、省エネはきちんと意識して設計しています。

※写真は会津若松を旅行したときのものです。真ん中はお城で上下はお城近くのレストランです。

 

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