家づくりとデジタルデータ
2016年2月25日[ケヤキの見える窓辺]
家づくりにおいて「暮らしやすさ」、「住み心地」、「住応えある」など大切なキーワードであるが数値では表すことが難しい。それに比べて「安全性」などはたとえば耐震性、防犯性などの指標を通して数値である程度換算できる。「省エネ」もそうだ。
しかし、家づくりにおいてはこの数値化されたものだけで判断しないことが大切だ。肝心なところは数値で表現できないことをしかと心にとめておかねばならない。最近の家づくりにおいても「差別化」を図るためこのデジタル表現にもとづく広告が多い。これは大量に「モノ」をさばく必要のあるハウスメーカーなどがよく使っている。
私は、そもそも家というのは大量生産品ではないと考えている。それぞれの家庭に一つ一つあてがわれるものであってそれぞれの家族の構成、生活のニーズ、趣味、倫理観など千差万別です。家を大量に販売しようと考えるものにとってはこれらのものを個別に対応していては大量生産できないので比較的数値化しやすいもの、表示しやすい言葉などで置き換えられるキーワードをもとに宣伝するわけです。最近重要視されている手作り感などは販売している実際のものと違ってモデル的に作った家をテレビで宣伝するなどしていたり、手作り感のある材料の採用をもって出そうと試みている。
大切なことは冒頭に挙げたキーワードをもとにそれぞれ家族特有の生き方、考え方、倫理感などを組み込んだ家づくりがなされることであって、「省エネ」や「断熱性」、「便利さ」、「設備機能の充実」、「耐震性」などは大切ではあるが根本をなすものではないことです。
家づくりにおいて大切なことは数値化されたデータに振り回されることなく自分たちの「マイホーム」の実現に向かって家族それぞれ心を一つにして努力していくことではないだろうか。それは「マイハウス」の実現ではない。その家づくりの努力の過程こそが大切ことではないだろうか。
「マイホーム」は「マイハウス」と違って完成時点が終わりではない。出発点だと思う。それは家族とともに生きて進化し続けていくものでなければならないと思う。
※写真は我が家の「おひなさま」と娘夫婦からの「家内の誕生日プレゼント」