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冬にあって夏を想う

2016年2月9日[ケヤキの見える窓辺]

節分も終わり私の事務所のある我孫子観音界隈は静けさを取り戻した。立春が過ぎたので冬もあと少しです。冬至が過ぎたころはあまり感じなかったが大分朝が早くなった気がする。それにしても冬の寒さや夏の暑さは年々体にこたえるようになったが四季のある我が国の気候風土は大好きである。季節季節に楽しめる行事や文化があります。

庇の出

 

最近の町並みで、とくに住宅では軒の深い庇が採用されなくなり、奥ゆかしい風情のある景観が消えつつあるのはまことに残念である。私自身も生業とする建物の設計の中に住宅を設計することも多いが、街中の小住宅の場合、理想通りに深い庇を設けることはできない。高度斜線、道路斜線・・・などとかく法律上の制限がある。それでも部分的だが何とか深い庇を設けることを試みている。

 

今冬だから夏のことを冷静に考えられる。盛夏だとあまりの暑さに頭が働かない?!

 

わが国の夏は梅雨期のむし暑い夏を第1期、土用前後の盛夏を第2期、立秋から秋分までの残暑の第3期の三つに分けられるといわれる。そして太陽南中高度から、大阪、東京では第1期では60cm、第2期では90cm程度の庇の出が必要とされ、第3期には軒先に簾でもつるすのがよいとされた。もちろん真冬には簾をはずして、日射を家の奥まで取り入れるためである。

 

 われわれは夏至のことをとかく考えがちであるが、残暑期の暑さは暦の夏よりも後になってやってくることを思えば、第3期の暑さ対策は不可欠である。

 

植物は暦の上ではなく、実際の季節感に対応するので、植物を利用した日陰づくりは効果的である。落葉樹、つた、パーゴラなどを利用した日陰づくりは地球にもやさしい日除けなのだ。

 

究極の省エネ住宅とは窓のない家だそうだが私たちは住むことができない。私たちは当たり前のことだが省エネのためには生きていない。しかし、近頃は家づくりにおいて過度に重視されているように思う。高価な省エネ機器をそろえることは果たして幸せをよぶのだろうか。せっかく変化に富んだ豊かな風土があるのに、ときには窓のない家のように閉め切ったままクーラーなどの省エネ機器を動かして逃げ込んでしまう。ちょっと工夫をして夏の暑さを楽しむことができる家づくりが忘れられている。とくに開口部廻りの工夫はポイントになる。

出窓 ギャラリー2

 

※写真は弊社の作品で前は住宅、後はマンションの開口部廻り

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