耐震診断の実情
2020年3月23日[ケヤキの見える窓辺]
耐震診断について各自治体からの補助金も支給されている。これを利用された方もいらっしゃると思います。ただ戦前の木造住宅にお住いの方は耐震改修を目的にしない場合はあまり診断を受ける価値はないと思われる。まず基礎には配筋されていないので現在の耐震診断基準からいうと筋交いや面材による耐力壁が存在してもどの程度の耐力があるかわからない。配筋された基礎の上に設けられて初めて耐力壁として計算上算定できる。
私が耐震改修を実施した昭和の初めの木造住宅では外見上きちんとしたひび割れ等のない基礎を有していたがコンクリートの劣化により無筋コンクリート基礎としても計算できないほどの状態であった。鉄筋を基礎に突き刺すと簡単に貫通する状態であった。そういうわけで既存基礎は使用できず基礎を新たに造りそこに新たな耐力壁を設けるようにした。既成の基礎はそのままにして新しい基礎と連結して耐力壁はもちろん配筋入りの新しい基礎に筋交いなどを設けて確保した。布基礎では弱いのでべた基礎とした。あとは意匠の問題で耐力壁をどう表現するかの問題に置き換えた。
現状は基礎をそのままにして耐力壁を筋交いなどの形にして置き換える場合がほとんどではないだろうか?基礎は十分な調査もせずに耐力壁の効力もはっきりせずに以前なかった筋交いなどを入れることにより耐震改修をしたことにする。それで計算しても合格にはならないが耐震診断を一応実施したことになる。このような診断に自治体が補助金を投入しても無駄ではないだろうか?ただ持ち家の家主には自宅の地震に対する抵抗力がほとんどないことは知らせることができるが。