やはり住宅は木造がいい
2017年12月9日[ケヤキの見える窓辺]
植物は、同じ種でも土地によって異なる遺伝子を持つという。その地域にある植物が亡くなってしまっても、よそから移植すればいいではないかと思われるかもしれない。だがそれをやると土地の植生の歴史は失われる。土地固有の遺伝子を受け継いだ種子を残すことが大切になる。
私たちも日本という国に生を受けた先祖から脈々と命を受け継いできた。日本の各地で生活しそれぞれの風土になじんで固有の文化を育ててきた。ときには外来の文化の影響を受けたことがあったりしたがそれでもそれぞれの固有の文化は受け継がれてきた。
家づくりにおいても国土から受けた豊かな森林材を時代に応じて家の主要材として先人たちは利用しその技術は改良され続け私たちは受け継いできた。何よりも私たちが最も身近で親しんできたのは木材である。わが国にコンクリートが入ってきたのはつい100年ほど前のことだ。何千年も前から石やコンクリートに慣れ親しんできた西欧とは異なる。
木材を用いた家のあの温かみは私たちに安らぎを与える。コンクリートや石の冷たさは私たちにとってなじみがない。そうは言っても私もコンクリート構造の住宅は設計したことがあるがコンクリートむき出しの仕上げはない。コンクリートを採用したのは構造材料として魅力があり、木にはない熱容量の大きさがあり、それを利用して省エネギー(私はこの言葉はあまり好きではない)の住宅を試みたのだ。外壁にはコンクリートを使い断熱材はコンクリートの外側に張り、通気層を設けて乾式のタイルを張った。室内側はほとんどが木の壁にした。床も全室床暖用のフローリング(チーク材)を張った。トイレもそうだ。当時料金が昼間の1/3の捨てられることもあった夜間電力を利用して給湯、床暖を夜間に利用して取得した熱をコンクリート躯体にためこんで一日を過ごすという考えであった。こういう家でも軒は深くとって伝統のあの奥ゆかしい表情は受け継がせてもらった。
天井、床、壁(人が触れる範囲)は木材で仕上げて体感的に私たちが受け継いできた温かみは失わないようにしている。やはり私には打ち放しコンクリート仕上げは肌に合わない。確かに近代的な感覚のするコンクリートは魅力的な材料であることは否定しないが。
木材の魅力はまだまだあり、同じ建築物を造ったとしても重量は鉄筋コンクリートの約
1/8でこれだけみても地震国のわが国には魅力的である。さらに適度な重量があるために免震構造を考える上で安い方式が開発されやすい。ちょうど金属の摩擦を利用した安価な商品が開発されている。低層の鉄筋コンクリートの建物ではその重さゆえ安価な免震工法は開発されていない。
やはりわが国では木造建築とくに木造住宅が最適なのだと確信している。きのあたたかみが感じられる家で感性豊かな子供を育てることにお手伝いできればと思います。