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高気密・高断熱に惑わされない家づくり

2017年7月29日[ケヤキの見える窓辺]

わが国は南北に長く四季の変化に富んだすばらしい国だと思います。高気密・高断熱という言葉は家づくりにおいて金科玉条のごとく叫ばれていますがもう少し冷静になって家づくりについて熟慮する必要があると思う。

 

高気密・高断熱は北欧やカナダなど欧米の気候の厳しい国々から輸入された。それが省エネという文明の言葉と一緒になって普及した。我が国でも冬の気温がマイナス10℃以下になる北海道でまず普及した。一方我が国では長年家中には自然風が通る生活を続けてきた。気密ということに無頓着な生活が続いていた。また欧米と異なり日本人は生理的には乾燥しているよりも少し湿気がある方を好む生活を続けてきた。我が国の食文化においてもこの湿度との関係を無視できない。

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高気密・高断熱には窓の役割は大きい。というのは外壁の断熱をいくらあげても窓の熱損失は一重のガラスは20倍、ペアガラスにしても10倍、Low-Eガラスにしてもやっと6倍に抑えられる程度だ。高気密・高断熱住宅が普及している北海道では床面積の15~17%が窓面積が占める一方、本州地域の一般住宅では窓面積は床面積の25~30%といわれている。

高気密・高断熱の数字を上げようとすれば窓を小さくせざるを得ない。

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私たちは四季に富んだ豊かな国土に住まわせてもらっている。気候の穏やかな春と秋の中間期は比較的長い。この期間は冷暖房設備などに頼らない生活を享受できる。つまり省エネを気にしないで過ごせる快適な季節である。以前のブログで「家づくりは春・秋を旨とすべし」と徒然草を模して述べさせていただいた。家づくりの根本はこの快適な季節を思う存分楽しめるようにすることだと思う。外部環境とのつながりを伝統的に重視してきた私たちの生活がある。家中を自然風が通る生活も受け継いできた。それを実現できる窓を設ける必要があると思う。

 

ただ例外的に都心部の騒音が大きいところや排ガス、ほこりなど室内に侵入するところは臨機応変にその環境に合わせて工夫していかなければならないのは当然であるが。

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家中に空気の動きがない密閉空間での生活は私たちにはなじまないと思う。私たちは伝統的に花鳥風月を愛してきた。野鳥の声や木々のざわめきなどから遮断された高気密は厳しいものがあると考える。省エネというが私たちの昔からの住宅が一番省エネであったと思う。だからといって昔の生活には私たちは戻れないが、せめて春・秋などは思う存分楽しめる生活をしたい。余裕があれば夏の暑さも、冬の寒さもそれはそれで楽しめる生活をしたい。文明の利器を総動員して厳しい夏と冬を乗り切る方法は私たちはの手中にある。それも省エネで。

※ 写真は下呂温泉・郡上八幡を旅行したときのもの

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