家づくりにおいて油断できないこと
2017年6月28日[ケヤキの見える窓辺]
家づくりの過程にはご存じのように設計と工事とがあり、どちらも大切であることはいうまでもありません。これは車の両輪のようにどちらが欠けてもうまくいかない。そのどちらにも最重要なポイントがあります。それは互いに信頼しあう環境づくりです。
設計でいうと施主と設計者の間に、また工事では設計者・監理者と施工者及び職人さんと施主の相互の信頼関係です。設計のさい、施主と設計者の間では、設計者は施主の要望を専門技術者としての長年の経験と知見を加えて安全面、性能面、住み心地の確保など忠実に設計に盛り込むこと、また施主の方は設計者の仕事に対してきちんとその作業費用を支払うことがありますが信頼関係なくしては成り立ちません。、
また工事においては設計者・監理者は設計の通りに工事を進めて行けるようにすること、そのためには工事担当者とときには施主と情報交換しながら調整していくこと、施主とは監理者が工事の進捗に合わせて仕上げ材の品番や色決めなどの最終確認をしながら工事担当者に伝えでその施工を確認するなど、また監理者は各種の検査が通過するように自ら確認し、ときには工事担当者と手直し指示しながらもっていかねばなりません。監理者と工事担当者は互いに信頼関係をもとに専門家として知見を交換しながら家づくりを実現していくことが大切です。職人さんの専門技術と経験を100%出せるような現場の環境づくりはもっとも重要だと思います。監理者が出す指示もそれを実現する職人さんがいらっしゃって初めて可能になるのです。施主はこれらの作業に対しては当然そのフィーを責任もって支払う必要があります。
この信頼関係は油断しているときちんとしたものにならない。家づくりに関わる全ての人たちが互いに信頼し合える環境を実現できれば成功です。この環境が家づくりの根本を支えていると思います。私も微力ながらこの環境を作れるように設計者・監理者として努力していかねばならないと思います。
大手のハウスメーカーの家づくりにトラブルが多いのもこの信頼関係が構築できないシステムになっているからです。以前にもブログに書きましたが、ハウスメーカーの技術力は素晴らしいものがあるのはだれでも認めますが、それを最終的に実現する過程でトラブルが発生することが多い。最終的に手を動かして作業する職人さんが誇りをもって生き生きと仕事ができる環境にないからです。それはハウスメーカーの技術開発のコンセプトや工事を発注するシステムに問題があるからにほかありません。根本には職人さんへの技術力の不信がその出発点だからです。施主からいただいた十分な工事費もモデルハウスの維持、広告宣伝費、本社の維持経費などに使われ末端の職人さんまで充分回らないシステムになっているからです。
※ 写真はしまなみ海道の瀬戸内海の風景