pagetop

BLOG

blog

建築条件付き土地

2017年2月18日[ケヤキの見える窓辺]

以前にもこのタイトルでブログに載せましたが少し形をかえては繰り返されるので再度筆をとりました。

 

マイホームを計画して土地探しを始めるとこれぞと思うめぼしい土地にはよく「建築条件付き」というカンバンが建てられていることが多い。私も土地探しからマイホームの実現のお手伝いをさせていただくことがあるがこの看板の建てられた土地は計画できないので別の土地を探すことになる。

 CIMG7670

「建築条件付き」の土地についてはトラブルもが発生することが多い。そんな土地には「自由設計」の表示がしてあることが多い。さらに想定の建築工事金額も表示されている場合が多い。何の事情も知らない一般の消費者がこの看板をみて表示の工事額で自由に設計してもらえる家が実現できると当たり前に思い込む。。

 

このシステムではそもそもトラブルの発生が避けられない図式になる。とくに土地の所有が不動産屋で建築が別の工務店である場合どうなるでしょう。土地の価格は競争もあり付近相場より極端に高くはできない。不動産屋の方は実際20~30%程度の利益を上乗せしたいがそれができないので工事を行う工務店の工事金額に何らかの形で盛り込むように画策せざるをえなくなる。相談に来られたトラブルで土地の売買と建築工事が同じ不動産会社で実際に工事をしたのは別の工務店であったが完成後の手直しもなかなかしてもらえないで困っているというのがありました。工事をした工務店に当然手直しをお願いするが動いてもらえない、挙句の果ては工事契約者である不動産屋を通じて工務店に手直しさせるべく連絡するがなかなか手直ししてくれないという案件であった。もうお分かりのように工務店の実際の工事金額は不動産屋の利益を除かれたものになるので坪70万円の工事が坪50万円前後の工事になるので工務店側も発生した手直し工事費用に対応できる余裕がない。

 CIMG7649

みなさんがご存じのように土地売買は関しては手数料の目安が定められており、消費者の立場からすると結構高額であると思いますが土地が不動産屋所有の場合はさらに上乗せをしている場合があることに注意してください。不動産屋も営利企業なので土地を保有する場合は短期になるので税金も高いし、宣伝広告費用その他も必要なことは理解できますがこのシステムでは消費者のためになっていないと思う。

 

私がマイホームのお手伝いをさせていただいたのは個人所有の土地でした。同じように売買手数料は仲介の不動産屋さんにお支払しなくてはなりませんが消費者にとっては不必要な金額を別に支払うことはありません。建築条件付きの「自由設計」は名ばかりで消費者が望むものではない。掲示に記載された工事金額になるようにすでに設計されたプランがあり、それから外れるとオプション扱いになり工事金額が跳ね上がる仕組みです。

 CIMG7650

消費者のためにならないことが多いこのシステムがなくならないのは消費者側にも多少責任があるのではと思います。

 

設計に真剣に向き合ったことがあるものなら「自由設計」なる言葉はそう簡単に使うものではないことを理解しているはずです。単なる「間取り計画」と「家づくりの設計」では雲泥の差があることを理解していただきたいと思います。

※写真は南紀湯浅の伝統的町屋

  • ケヤキの見える窓辺
  • お問い合わせ
  • 建築家×弁護士