住宅の設計を通じて近頃感じること
2016年4月20日[ケヤキの見える窓辺]
最近設計を終えた物件に関していままでにない大きな波が来ているように感じました。現代はネット時代で一般の消費者が以前知りえなかった情報を得られるようになりました。
新築住宅では必ず必要になる照明ですが、これまでは電気設備業者さんが設計図に基づいて手配することが普通でした。
しかし現実は電気設備業者さんが問屋さんから仕入れる価格と消費者が同じ製品をネットで購入する価格に大きな開きがでてくる場合が見られるようになりました。電気設備業者さんは製品価格に若干の儲けを上乗せすることはあったと思いますが。その価格の開きから消費者は単にぼろ儲けと見て業者さんに不信感を抱く場合がでてきます。
家づくりは誰のためのものでしょうか?大半がローンを組まれて建設に関わる資金を用立てるのが普通です。すこしでも少ない方がいいに決まっています。業者さんの方も大半が健全な仕事—–施主のためにきちんと丁寧に仕事をしてそれ相応の対価をいただくことで生活しているのだと思います。
ただ一部の業者はそのあたりの事情を知らない消費者に自己利益の最大化のチャンスとばかり便乗するケースもあるように見えます。昔から家づくりは関わる人も分野も広く、景気の判断として着工件数などがその指標にされています。私もその中の一員として参加させていただいているものとして一部のものだけが自己利益の最大化を図ることは許すことはできません。
今回は照明器具を施主がネット購入して取り付け手間は業者さんにお願いする形にできないものかと試みていますが。業者さんによっては問屋さんとの力関係からネット価格と大きく違わない(若干の儲けは上乗せしてても)業者さんもいますので以前と同じ発注形態で行ける場合もあります。
施主が製品をネット購入するのもやはりリスクはあります。少々高くてもトラブルのさいには安心できるとお思いになり従来の形に従うことを選択される方もいらっしゃると思います。
この業界に40年近く携わってきたものとして関係するみんなが心をもめた仕事をすることにより相応の対価を施主さんからいただいて生きていける環境を守っていければと願っています。
※写真は熊本の菊池渓谷