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世界に例をみないわれわれの独特の感性を生かした家づくり

2015年12月29日[ケヤキの見える窓辺]

この長いタイトルを見て、即ブログから離れられてしまわれそうですが、大事なことと思うので続けさせていただきます。

 

まず自分の体験から。数年前に大阪でもまだ自然が残っている能勢の親戚の家を訪問する機会があった。その家の縁側は秋の柔らかな日差しを受けて飼い猫が気持ちよさそうに寝転んでいた。私も縁側に腰掛けて市内とは明らかに違う新鮮な空気の中で秋の日差しを受けて広々とした山川や野につながっている自然との一体感を楽しむともに何か懐かしい安らぎを覚えた。

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日本の温湿潤な環境は世界に類例がないと言われます。過酷な自然を切り開き征服して成り立っている他の世界に比べて、自然を壊さず、自然に内在する「神」と交神することで今の生活を保障してもらおうというメンタリティを培った。縄文時代から1万年も続いているのはこの豊かな自然のおかげであり、その時を経て自然との交流が高度になった。

 

冒頭に述べた体験は、われわれが日常の忙しさの中でつい忘れがちになっていることを気付かされたのだ。

 

私たちは合理的な家屋構造や気密性の高いサッシを手に入れ、個人の場を守り、風雨寒気が身に及ばぬように守ってくれたかもしれないがいつのまにか自然環境への通路を少なくしてしまった。さらにさまざまな文明の武器を手にしてひたすら便利な世の中に安住してしまっている。

 DSCN4388

東日本大震災のような自然災害に際しても、極限状態の中で共同意識が芽生え助け合う、自然との一体感はまだ失われていない。

 

私が一日一日と暮らす家というのは、全ての生物は全ての無生物とともに常に今ここという永遠の時空の中に在って、生という形において存在しつつ完成していることを常に忘れないで暮らす家のことである。これは伝統的に受け継がれてきたことなのである。従来の日本家屋は確かに不便ではあったと思うが、決して不幸に思われたことがないはずだということはわれわれがよく知っていることなのだ。

DSCN4323

これからの私たちの家づくりはこのようなわれわれ独特の感性の価値を意識することでよき伝統を受け継ぎ発展させていくものでなければならないと思う。そして世界に別の生き方もあることを提示できるのではないだろうか?

※写真はこの秋旅行したしまなみ海道沿いの風景

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