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高齢者の住宅改修

2015年7月4日[ケヤキの見える窓辺]

私の所属しているKネットからの依頼で、あるご高齢者住宅の相談を受けた。相談の内容は築20年経過する自宅の外壁等の改修についてであった。あるハウスメーカーの物件で新築してから初めての改修とのこと。当然ハウスメーカーからは改修の調査結果と改修工事の見積もりが提出されていた。齢90を越えられているが頭脳明晰で賢明にもご近所の塗装会社にも同様の内容の見積もりをとっておられた上での相談であった。

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われわれの訪問に合わせて塗装会社の責任者も呼んでいた。現場の状況と経過及び見積もりの内容を事前にチェックさせてもらったあとこの塗装会社の責任者と打ち合わせた。見積もり内容も担当者も信頼おけると判断させてもらった。もちろん依頼者の方は事前に信用できる人物であると判断された上で自分では見積もり内容について適正化どうかの判断ができないのでわれわれ専門家をお呼びになったとのことであった。

 

わたしが指摘したのは塗装業者の提案では確かに防水性能はアップするものの現状の建物のもっている風格等がなくなることであった。業者の方は塗装の性能面を重視して誠実に提案したのだがこのままではこの住宅のもつもっとも大切な風情を保存するという観点からの選択ではなかった。私の方はもうすでに何軒もの住宅の設計及び監理した経験から家の持つ一番大切なものについて判断できる経験がある。この建物は外壁仕上げはリシン仕上げで20年経過しているにも関わらず致命的な劣化はしていなかった。最近では少なくなった深い庇をもっていること。当初から丁寧な施工がされていたことに尽きると思う。リシン自体はご存じの方もいらっしゃると思うが決して高価で耐久性のある仕上げではない。しかしこの建物の風情を表すには適正な仕上げ材であった。

 

業者の提案の塗料では防水性はあがるものの外壁に光沢が目立ち外観を台無しにすることを説明し、依頼主にもご理解いただき既存リシンの状態を判断して適度な防水性がありかつ現状の外観風情を保てる材料を推薦させていただいた。もちろん塗装会社の責任者も理解していただいたことはもちろんですが。

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ハウスメーカー物件ではまずハウスメーカーからの改修調査および見積もりが出されるが一般のご高齢者は言われるままに工事に応じているのが実情ではないだろうか。実際工事する下請けの塗装会社と直に交渉したり、別会社に見積もり依頼したりする方がもう少し安価な工事費で済むのはわかっていてもなかなか実行できないのではないでしょうか。

 

私たちのように依頼主側につく第三者の専門家を利用して改修工事を実行してみるのもいいのではないだろうかと思い記事をまとめてみました。

※写真は高知を旅行したとものものです。足摺岬、中村にあるトンボ園

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