pagetop

BLOG

blog

おばあちゃんの家

2014年9月13日[ケヤキの見える窓辺]

今の親たちは小学生からゆとり教育(小学校では1980年度から施行)を受けた世代で規律・常識よりも自由・個性を重んじる気質が強いという。P1030365

 

そのためか外食産業では、一人ひとりが好きなものを選べるバイキング方式やフードコート方式の盛況ぶりが目に付くという。テーブルの上には和・洋・中華の料理が乱れ置かれるが、今のファミリーにはそのバラバラ感が落ち着くのだろうか。

 

さて家づくりを生業にするものにとってはこの状況には危機感を感じる。家とは家族のそれぞれの個性を重んじて外食産業のように和・洋・中華を家中に並べおいて成り立つものではないし、こと家づくりにおいてはこの点を理解できる世代も多くいらっしゃると思う。

これまでは親と子の世帯の話であったが近頃では家づくりにおいては祖父母も入れた3世帯が住む家も増えている。

 

さてここで「おばあちゃん仮設」を登場させよう。(日経9月12日の記事)それによるとヒトの女性は、他のほ乳類と異なり、子どもを産まなくなった後も長く生を謳歌する。これはダーウィンの進化論に従うならそれは「おばあちゃんがいた方が種の存続に有利だからで、その方が子孫の繁栄するから」であるという。P1030338

 

家づくりにおいてのポイントは社会構造が変わる中にあっても親、子、孫それぞれの世代が一緒になって行う家づくりが子孫の繁栄に役立つということになる。

 

女性の社会進出が叫ばれる中、子育てを考えてみると、ヒトの赤ん坊は、基本的に未熟な状態で誕生し、生まれてすぐは立つどころか這うこともできない。それを母親だけが育てていては壮年期の貴重な働き手が減るし、母親が次の出産に向かうことができない。そこでおばあちゃんの登場です。おばあちゃんが娘の子育てを手伝うことで、全体としての効率が上がり、3世代間の連携による子孫繁栄ということになる。

 

3世帯が同居しなくてもおばあちゃんの力を引き出せる家づくりは大切になってくるのではと考える。別居するにしてもおばあちゃんの家のある程度近くに子世帯の家を構えるとか、思い切って自然豊かなおばあちゃんの家に一時引っ越して子供を育てることもあると思う。土地の安い田舎で子供たちがのびのびと遊べる大きな目の家を建ててもよい。古い民家をリフォームして3世帯が暮らしてもよいと思う。P1030334

 

別居するにしてもおばあちゃんの家は、子育ての手伝いができ、孫が喜んでくる遊びの空間たっぷりの家にリフォームしてはいかがでしょうか。子世帯の送り迎えに便利なゆったり目の駐車スペースを設けたり、3世帯が楽しめるリゾート感覚一杯の家もおもしろい。

 

わが国の女性の社会進出のかぎは「おばあちゃんの家」づくりにあるかもしれない。

※写真は家内の陶芸作品に庭の野草などを活けたもの

 

 

  • ケヤキの見える窓辺
  • お問い合わせ
  • 建築家×弁護士