ないがしろにされる換気計画
2020年1月31日[ケヤキの見える窓辺]
シックハウス対策で建築確認申請には住宅の換気計画計算及び図を添付し審査を受けることになっています。しかしいまや有名無実化しているのではないでしょうか?審査機関のチェックも換気計算に矛盾がないか、排気量に見合う給気量が確保されているかどうかを見るだけで審査終了となり、換気計画の中身を吟味することなく審査がパスになっています。
換気計画の重要なポイントはシックハウス対策に効果的な計画になっているかであり、基準の排気量に見合う給気量の有無ではないはずである。私が危惧するのは確認審査はパスしているが、実際に根本を忘れた換気計画に出会うことが多くなっているからです。先日も相談を受けた案件では、第三種換気であったが適正な給気量と給気口の配置に問題があると判断せざるを得ないものがあった。
換気計画では計算に見合う排気量と給気量とを確認するだけでは済まない。全居室の換気がバランスよく行われることが最も重要である。このところがポイントでそれを怠ると、換気が不十分な壁は季節によっては結露しカビが発生したりする。換気量のバランスも各居室の温度差を引き起こし、当然温度の低い居室では結露の危険性が増し、カビが発生することになる。また換気の悪い居室では水蒸気が適正に排出されず結露の危険性が増大する。
まともな設計者はこのあたりも熟知していて今までの経験と知見を駆使して換気計画を建てるが、それとは逆に単なる下請け仕事の設計者は短時間で確認審査をパスすることばかりに力が入り大切な観点を見失っている。たかが換気計画、されど換気計画であるが決して軽んずべからずである。