自然災害と家づくり
2019年5月24日[ケヤキの見える窓辺]
わが国のあちこちで毎日のように自然災害の報道があり、私の居住している大阪にも地震や台風が襲来して大きな被害を与えている。とくに私が生業としている家づくりにおいていろいろと問題提起されている。そもそも建物は安全であることは第一であり、家づくりに携わっている専門家は精いっぱいの努力を重ねて仕事に従事しているのは言うまでもないが家屋の損壊等により人命を絶たれる被害が後を絶たない現実がある。
以前のブログにも言及したが家は「どこに住むか」は「どんな家に住むか」と同様かそれ以上に大切であることが災害を通じて私たちに教える。被害に遭う前にある程度弱点がわかっていれば対処法も異なり被害を低減させることができるはず。敷地の地盤が液状化しやすいかは建てる前の地盤調査である程度わかる。それでもその敷地に建てるのか、それとも液状化の危険がない他の土地を探すかはそのときに判断できる。
敷地の背後に山が迫っている場合はがけ崩れが起こる可能性があるので慎重に決断する必要がある。山から離れている土地でも土石流の被害に遭う場合もある。大きな情報としては公共団体などから出される災害危険度マップなどがあり、事前に調査しておくにこしたことはない。新興住宅街でも土石流の被害を受けた地域があり、新しく開発された土地だから安全であるとは言えないことがわかる。
百年に1度の災害であると言われても誰しも仕方がないと納得される人は少ないでしょう。慎重にじっくり考えて決断する必要があります。同じ自然災害を受けても片や被害の少ない場合と一方では壊滅的な被害を受ける場合があるのも現実です。人の一生に出会うかどうかがわからない大きな自然災害に備えると言っても諦めるしかないという考え方もありますが自らが対処できる範囲だけでもより安全な方法を模索する努力を怠らないことがこの世に生を与えられたものとして大切なことではないでしょうか。
科学技術の進歩により家自体の性能は昔に確実に上がっているのは事実である。家自体はどんなに頑丈でも土石流や液状化する地盤にたいしては現在抗うことができない。津波においても同様である。しかし私たちは敷地が土石流に遭遇する危険がない土地や液状化の地盤ではないという事はある程度の予測は可能になっている。津波についても軽々しくは言えないが過去の津波災害の記録などをもとに津波被害を受けないように敷地を選ぶことができる。そういう努力をするかどうかにかかっている。その危険性の度合いをよく理解した上で敷地を選択するのはそうでない場合より良い決断だと思う。
※30年近く前に屋久島に行ったとこの写真です。当時は縄文杉見学はは秘境に行くかんじでした。