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家づくりのすすめ④—–プラン計画する上での大切なこと

2016年11月23日[ケヤキの見える窓辺]

家は長期間所有する不動産なので長期的な観点から「一生を暮らす家」という切口から計画され、省エネや便利さや効率を最重要視される方が多いと思う。

 

今回完成した家は30代そこそこの小さなお子さんが2人の4人家族の家でした。この家で重要な人間形成のときを過ごす子供たちにはとくに影響が大きいことを肝に銘じておかなければならない。とくに識者は最近の子供一般にいえることだが「自然を感じる力」が弱体化していると指摘する。また「生き物の一員」としてのルールを身につけないで社会にでてくる若者が増加しているともいわれる。背景には「自然を感じたり、生き物と向き合う呼吸を体得しないまま大人になる」若者が増えていることにある。何か得体のしれない不気味さを感じる。

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つい半世紀前まで私たちは植物由来の材料と土でできていた家に暮らしていた。植物由来の素材は人に優しく、家を呼吸させる。和紙を使った障子や襖や土壁は室内の湿度や温度を整え、夏は涼しく、冬には温もりを与え、外の音をそっと伝え、光と陰影の妙で暮らしに美を添えていた。人と自然が寄り添う暮らしです。そんな暮らしから離れて私たちは天然素材の経年による色や質感が変化することにより人と共に家が熟成していく実感をなくした。

 

さて話を元にもどして家づくりをしていく上での切口は長期的な視点だけにとらわれない観点が望ましい。その家で一生を暮らす上で省エネや耐久性や便利さは無視できないがそれよりは自然と寄り添う暮らしをしてきたDNAが私たちに根付いている。確かに不便ではあったが不幸な暮らしではなかった。快適さや便利さだけの家は人の好奇心を奪う。その影響は子友たちには大きいのではないだろうか?

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確かに私たちの取り巻く環境は昔とちがい厳しくなっていることは確かだ。だからこそ人とくに子供たちには限られた光、風、匂い、音など全身で感じられるように工夫が大切になる。風や光も心地よさを引き出すのは「揺らぎ」であることを忘れてはならない。自然とうまく向き合うことにより揺らぎによる自然の心地よさを体得できることが大切です。

 

一生を暮らす家ではなく一日一日、一瞬一瞬を大切にする暮らしを工夫し楽しむことができる家を目指すことが大切。省エネや便利さだけの家は喜怒哀楽や好奇心を弱め、本物を見る力が生まれてこない。

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今回の家では高価な自然材料は使えなかったが光や風の心地よいゆらぎを体得できる木質空間を目指しました。

※写真は蔵王の紅葉

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