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たかが増築、されど増築

2015年9月26日[ケヤキの見える窓辺]

家を建ててから20年ぐらいになると家族構成も当初とことなり、家の建て増しやリフォームを検討される方が多いと思われます。そのような相談も増えています。

たかが増築ということで6畳程度(10㎡以内)の増築は確認申請をわざわざ出さなくてもよいとされています。ただ準防火地域や防火地域は除かれますが。

 

そのよう場場合でも一応建築士などの専門家に相談して構造の安全性の確保、既存部分との取り合いの方法を検討してもらうことは大切です。

 

問題はハウスメーカーで家を建てられた場合は増築したり、大規模なリフォームをする場合(構造部分を含む)は木造の在来工法ほど自由にはいかないことです。私たちに相談されても既存部分の構造等の情報が一般に開示されていないので構造の安全性などの検討ができないためでお断りするしか仕方がないのです。また確認申請が必要な場合はもうお手上げです。ただ、既存部分と構造を分離して増築することは可能です。たとえば1階部分を既存部分に接続して増築したい場合は既存部分と構造的に縁を切って増築する方法がとれます。2階のテラスやバルコニーに部屋を増築する場合は構造的に縁を切ったとしても荷重状態が変わるので既存部分の安全性を再検討する必要があり、やっかいです。

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ハウスメーカーで建てた家はやはりハウスメーカーに頼まないと増築やリフォームに大きな制限がかるということです。そのハウスメーカーも変えることはできません。そこがハウスメーカーの営業戦略だと理解が必要です。外壁の塗装のやり替えなどは別の一般の建築業者さんに依頼することも可能です。賢明な方はハウスメーカーの見積もり以外に他の塗装会社の見積もりもおとりになって比較され、ハウスメーカー以外の塗装会社を選択される方法を採られる方もいらっしゃいます。ただその場合でも専門家の意見を聞くことが大きな失敗をしないために大切だと思います。家づくりの場合安ければいいという安易な判断は大きな失敗の原因になることが多いのです。

 

ハウスメーカーの住宅は根本は職人さんの技量の否定から出発しています。多少腕の悪い職人でもある品質を保てるように工法づくりをしています。またハウスメーカー工期が早いと言われていますがそれは事実です。その代り犠牲にしていることも多くあります。私たちが関与している家づくりではやはりお話をいただいて工事着工まで1年程度はかかります。私たちは相談をいただいてまずすべてのことをゼロベースで検討します。ハウスメーカーは工法、材料、設備など早期に決められるようにあらかじめ検討事項を大幅に省略しているのです。私たちがする場合でもそれなら随分早く進めることは可能ですが、私たちの存在意義というのはここにあるのです。

 

また私たちの設計する家は職人さんの技量に頼るところが大きいのです。職人さんの長い修行のなかで培われてきた技能が必要です。だから職人さんも精進して技量を日々磨いていくことを私たちは求めています。この点はハウスメーカーとの出発点が異なるのです。

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早期に家を建てたい方や大きな会社に依頼することに価値を見出される方はやはりハウスメーカーに依頼されることをお勧めします。会社は小さくてもコツコツ技量を磨いて確かな技量をもつ職人さんを抱えているところを私たちは大切にします。職人の魂をもって仕事をされる方たちと家づくりをしてゆきたいと思います。大きなハウスメーカーは大々的にテレビ宣伝をしていますが、よく見ると自分たちの短所といえる手作り感の不足—職人さんの技量の発揮する場がない—をさもあるかのごとく宣伝されているように見えるのは私の一方的なうがった思いでしょうか?一般の消費者を混乱させるのではないかと心配していますが。

※写真は家内の趣味の陶芸作品

 

 

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