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自然と家づくり

2017年5月17日[ケヤキの見える窓辺]

私たちは自らと自然との折り合いを家づくりにおいて生かしてきた伝統がある。私たちと自然の関係は私たちが人生の岐路に立った時にそれまでは論理的にどうしても解決できなかったが眼前の風景を見た瞬間“啓示”を受けて解決したという話は知っている。誰しも似た体験を持っているかもしれない。

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家づくりにおいてはどうだろう。私たちは社会との関係なしには生きていけない。家を建てようと思っても自らの生活圏、資金繰りと折り合う形でしか敷地は選択できないのは事実である。いくら自然が好きだと言っても今の生活圏を離れて自然豊かな田舎では生活は困難であるい。敷地選びにおいても自らの理想を100%反映することはできないのが普通である。とくに都会では豊かな自然に囲まれた環境は得難い。そんな中で私たちはどのような家づくりをしていけばよいのか。

 

ここでなぜ家づくりにおいて「自然」にこだわるのかを説明させていただきたい。文頭に説明したように私たちの意識は普段気付かない深い層において森羅万象に向き合っており、開かれている。一方日々の生活の中では仕事や家事に追われてなかなか自らの意識の深い層までたどり着くことは困難である。しかし自らを振り返ってみると多忙な日常からときには離れて非日常的な触れ合いがあると「自らが生きている」との実感を得て本来の自分に戻ったような経験をすることが多い。日常に追われる生活の中でも自らを失うことなく過ごしていけたらより充実した豊かな人生を送ることができそうだというのは理解できる。

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私たちは職場という日常空間を持ち一方それらから離れて家族や自分ともに過ごす家がある。家では非日常的な生活をすることが理想ではあるけれども家族や親類や近所の付き合いの中ではやはり日常的な関係が否が応でも切り離すことはできないのは事実である。

 

私は家づくりのお手伝いを生業としているがこのような状況下で家庭というある意味日常的な空間を過ごす場を設けながらも「自ら生きている」という実感を得られる非日常の空間も実現できる場を設けなければならないと考える。通常の住まいでは人生の啓示をうけるような風景を見ることはできないがそれでも「自ら甦る一瞬」を提供できるように努力する。都心の環境の中でも限られた自然である太陽光や風などを利用して自然と触れ合えるようにしかけたり、仕上げ材なども工夫して個人の意識の深い層にたどりつけることを意図する。また庭などを設けて通風や視覚的に植栽の緑を使っていろいろと仕掛けをすることもある。

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わが国は温暖な気候で四季があり地域で様々な豊かな文化を育んできた。その伝統は私たちの体内にDNAとして受け継がれてきている。そのような伝統を受け継いだ家づくりをしていければと思います。

※ 写真は宮崎の高千穂峡

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