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大都会の霧

2017年4月8日[ケヤキの見える窓辺]

子どもの頃、大阪でも深い霧に包まれた経験がある。霧は都会の子供にとっては何かロマンチックで神秘的で不思議な気持ちにさせられた。大人になって箱根をドライブしているとき子供のときには経験したことがない深い霧に包まれた経験がある。一寸先は闇という言葉のようにすっぽりと霧に包まれてまったく前が見えない状態に陥った。このときは恐怖感すら覚えた。

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最近は大阪でも霧の発生がなくなった。東京や京都でも霧の発生が皆無になってきている。一方、杜の都仙台ではまだ年に20日程度は霧が発生しているという。その差の原因は都市の砂漠化(ヒートアイランド化現象)と関係があるらしい。

 

都市の緑化の目安に緑被率という指標があるが仙台市の緑被率は26.1%で東京の都心の千代田区でも19.1%に比べて差は小さい。

 

霧の発生の顕著な違いはどこからきているのだろうか?都市周縁部に目を広げてみると仙台市の市街化区域の周辺には東京に比べて豊かな緑地が残っていることがわかる。また仙台は湾岸部に高層ビルが建っていないので海で発生した霧が風によって都心部に運ばれやすいのかもしれない。

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都市の乾燥化を緩和するひとつのカギは、緑と雨水の上手な活用にある。つまり緑地の整備や屋上緑化等を進めることにより、雨水を染込ませ、ゆっくりと流すことにある。

緑地から蒸発する水蒸気は気化熱を奪い、都市のヒートアイランド化現象を和らげる。また、緑地には、さまざまな生き物の生息空間としての機能が期待できる。

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子供のころの大阪はまだ都心部でも緑があちこち残っていた。また高層ビルも皆無であった。ビルの屋上緑化や空き家を緑地に替えることでもう少し緑被率を上げて行かなければならないと思う。私が子供のときに体験した周りが霧に包まれたなぜかロマンチックで神秘な感じ、不思議さを今の子供たちにも体験させてあげたいと思う。自然は多様で豊かであること。それを命を繋いでくれる子供たちに感じさせられないのは私たち大人の責任ではないだろうか?

 

昔東京でもあったときくあの明治神宮の霧のように神宮の森から湧き出て、隣の原宿駅まですっぽり包んでしまうような—大都市が霧に包まれる日がもどってくることを願って。

※写真は会津の大内宿の風景

 

 

 

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