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中古物件の購入の際は専門家の力を借りよう!

2016年8月10日[ケヤキの見える窓辺]

この前も私が参加している「よろず相談支援機構」にある相談が寄せられました。内容は築後10年の中古の家を購入したが、既設のエアコンを取り外したところエアコン穴から穴が開けられた筋交い(構造上重要な耐震材)を発見した。瑕疵ではないかと不動産会社にいったが瑕疵ではないとの話で困っているという問い合わせがありました。リフォームを担当した1級建築士に相談すると耐力壁長さについてはOKだが、耐震壁のバランス性のチェックではNGになるとの判断がでたとのことであった。

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このように新耐震基準を満足し、確認申請及び検査済みを取った物件であってもこういったことが起こります。たまたま既存のエアコンを外してみた結果発見できたがそうでなかったら以前の持ち主も家の耐震性能が落ちているにもかかわらずまったくそれに気づかなかったところに問題の根深さがある。

 

たかがエアコンを設置するだけでもこのような問題が発生しうる。建物を総合的に理解しているものを介していればこのようなことは防げるかもしれない。一般の素人の方がエアコンのスリーブ位置まで指示できるのはまれなのです。エアコンの取り付け業者もきちんと仕事をする業者なら確認申請図面を見せてもらってクーラーのスリーブ穴の位置を決めることがあるかも知れないが、ほとんどの業者—とくに家電量販店から派遣される業者はこのレベルで仕事をするものはない。数をこなすことに重点を置き、エアコン用の穴あけ作業がことによっては家の安全性に大きく影響することだと理解している人は皆無ではないだろうか。

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では私たちは中古住宅を購入する際にどういったことに注意すればよいのでしょうか?まずは物件がインスペクターという専門資格による人の調査を終えていること。さらに瑕疵担保保険がついていることが最低限の確認事項。それでも今回のようなトラブルは起こりうるのでたとえエアコン付きの物件であっても一言「既存エアコンの穴開けによる建物構造被害については売主がすべて責任をもって復旧すること」などの特約をつける必要がある。エアコン付なので購入しなくて済んで助かったと単純には喜んではいけないのです。

 

このような特約をつけない場合、問題は非常に複雑になってくる。売主や仲介業者の責任を追及できるかというと微妙だ。はっきりと責任追及できるのはエアコンの穴あけ作業を行った者に対してであるが年月が経過して業者を特定できない場合、特定できても倒産してしまっていれば追求もできなくなる。

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中古物件を購入する際は素人判断は危険なので、自らの味方となる建築士やインスペクター資格をもつ専門家の専門知識、経験を利用することをまず検討していただきたい。

※写真は十和田湖の景観

 

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