pagetop

BLOG

blog

家づくりいろいろ

2018年6月16日[ケヤキの見える窓辺]

今年の4月から既存住宅の専門家によるインスペクター業務が始まり、私も生業の設計業務の傍らインスペクター仕事も行うようになり既存の様々な住宅を見る機会が増えました。今までは自らの設計監理をした家しか見る機会がなかった状況からハウスメーカーの住宅、地場工務店の住宅、建築家設計の住宅・・・を実際に見ることができるようになった。また経年による住宅の劣化を実際に見る機会ができた。ほんの数年前に完成したばかりの家から竣工後50年近く経過した住宅なども具にみることができました。

 CIMG4779

ほとんどの人はマイホームを建てられるのは一生に一度ということだと思いますが、建てる前に知っているのは実家や住宅展示場のモデルハウスや知り合いの家程度ではないでしょうか?ましてやその経年劣化の具体的な状態など自宅以外知る由もない。

 

家は字のごとく不動産でそこで人生の大半を過ごす器です。様々な家にはまた様々な人生があり、生活の変化に伴って家もある程度変化し、また経年劣化による補修も必要になる。

かといって改修や補修にかける費用は限られているので新築時に将来の世帯変化や経年劣化による影響が少なくなるように備えておくことが必要になる。

 CIMG4777

ただ生活の忙しさに追われてじっくり時間をかけられない中とりあえずマイホームを確保する必要にせまられ多数の人が建売住宅や分譲マンションを購入する場合もある。賃貸の住居に住んでおられて毎月の家賃の支払いを考えて将来は持家になることに魅力を感じてとりあえずこれらの住宅を購入するという選択もある。

 

私は家づくりのお手伝いを生業としている。施主とともに現在、将来を見据えて望まれる生き方に沿うように生活する器をゼロベースから一緒に創っていく。そこには単に建売住宅やマンション購入にはない貴重な過程がある。夫婦ならその働き方、子育てと教育、ローン負担、将来の自分たちの姿、子どもの独立とその後の自分たちの生活、老後の生活など様々なシーンを想定する。それらの過程を一つ一つクリアして器を創り上げていく。その過程は一つ一つ自らの人生に刻まれるし、器にはその痕跡が残る。

 CIMG4778

こうした過程を踏んだ他の建築家の家をみる機会も増えた。その他のメーカーの家との違いを明白に感じることが多い。たとえば家族が多くの時を過ごすリビングをみればその家族と設計者が目指したものがはっきり分かる。これは大手のハウスメーカーなどの家とははっきり異なる。そのリビング立つとき家族の生き方や生活が前者でははっきりわかるのに比べて後者では明白に浮かんでこない。リビングが「生きている」という言葉が適当であるかは疑問であるがその場に立つときそのような感じを体感する。この違いは施主と設計者が一体となって真剣にモノづくりをするかしないかの違いにあるのだと思う。

※ 写真は金井の手作りの陶芸作品と既製のガラスの置物など

  • ケヤキの見える窓辺
  • お問い合わせ
  • 建築家×弁護士