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古家のリフォーム——-設計事務所の役割

2017年8月9日[ケヤキの見える窓辺]

来年(2018年)四月から改正された宅地建物取引業法が完全実施される。増加する空き家を有効に活用するためにも古家の状況を専門家による調査を実施してその価値を評価する一つの手段が示されることになった。

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今までは私たち設計事務所を窓口に古家のリフォームを依頼される場合は古家の調査を実施して耐震上、防水上その他の確認を行い、必要な補修を実施してリフォームを行うのが通常であった。改正に規定する調査項目以上の詳細な調査を実施してきました。

 

当事務所でも新築とともに戸建住宅やマンションの全面改修を数多く行っていてそれなりの経験や技術の蓄積はあります。建物調査も建物の設計・監理を行った経験がない技術者が調査する場合があり、その調査報告書が専門の立場からするとあり得ない記述がなされているのを見てきました。リフォームを前提に調査する場合はやはり新築の設計・監理の経験がないと十分な判断ができない場合があると思います。それは様々な人の手により家が作られるので、同じ工法の家でも千差万別で品質がそれぞれ異なります。それを見極め、その家のリフォームに最適な方法(安くて安全な)を見つけるためには先に述べた経験が必要になるのです。その品質に応じ臨機応変にリフォーム設計を行う必要があります。

 

古家をリフォームしてのマイホームを計画される場合はやはり新築よりは安い金額で家を手にすることが前提になる場合がほとんどです。中には既存不適格(現行の建築基準法には適法ではないがいわゆる違反建築ではない)の家をリフォームされる場合、新築するのと異なり、現状の床面積は確保(外形はそのままにして)できますのでリフォーム工事した場合と同じ床面積のマンションを購入した場合と必要金額等を比較検討した上でリフォームされる場合もあります。交通や買い物が便利で職場にも近く生活しやすいということが前提になります。

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来年の宅建業法の改正に戻りますが、古家付きの物件を購入してマイホームを検討される場合、現状の古家の評価を専門家に依頼することが可能になり、その評価をもとに家の価値はゼロで建替えするしかないなら実質土地の値段と古家の撤去費用を入れて建替えの検討したり、古家の基本骨格がしっかりしていることが分かるならリフォームの費用が安く抑えられる目途がたったりで空き家利用の活性化が気体できます。

 

建物調査などの経験から明らかに再利用の可能性の低いと思われる物件もあり、そのまま放置すると災害の際などや治安上、環境上周囲に悪影響を及ぼすと判断できる家もありますので合法的な手段で淘汰されていくのではと期待しています。

※ 写真は家内の趣味の陶芸作品に花を手折って活けたもの

 

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