pagetop

BLOG

blog

エコ(ブーム)を考える

2017年5月10日[ケヤキの見える窓辺]

地球のあちこちで温暖化によると思われる異変が毎日のように報じられる昨今です。誰しもこのままでよいとは思っていない中、各自省エネ努力をしているのに一向に成果が上がらないように見える。

 

どうやらわが国では私たちのあまり気付かない社会変化も影響しているという。産業用のCO2の削減が目覚ましいが家庭用は逆に数十パーセントのオーダーで増加しているという。たとえば各家庭のテレビの消費電力が半分になったとしてもCO2の排出はたった1%減るだけだと算定されている。

DSCF3892

気になる社会変化とは核家族化による世帯数の増加、未婚率が上がった、老人の一人住まいの世帯が増加していることだという。たとえば1世帯に親子4人で住んでいた家庭から子ども2人が独立して一人暮らしを始めると3世帯になり、それぞれの世帯で家電製品や給湯器を使う。一人当たりのエネルギー消費量は増える。単身世帯のエネルギー消費量は4人世帯の一人当たり消費量の1.5倍にもなるという。

 

「一人で住む」よりは「一緒に住む」方がどうやら地球温暖化にはよいという。

 

最近落ち着いてきたが各家庭で一時太陽パネルの設置がブームになった。環境に良いからといって周囲への配慮や気遣いを書いた行為が周囲とのトラブルを引き起こした。太陽パネルの反射光が隣地の住まいに入り隣人はサングラスをして布団を干す状態に追い込まれたというトラブルもある。また都市環境に良い影響を与えることもあって屋上緑化も普及してきたが手入れを怠ると虫が増えたり、枯葉が落ちたりで隣地とトラブルになることもあるという。

DSCF3894

私は設計を通じて家づくりのお手伝いを生業にしているが「エコ」を免罪符に街並みの景観を壊す例が増加していることに憂慮する。黒瓦の屋根がつづく美しい町並みは独特の情緒を醸し出している地域がある。長年守ってきた美しい景観も配慮のない太陽光パネルが野放図に取付けられ一瞬にして破壊される危険性がある。調和を欠いたエコブームによる風景などを壊す行為は慎んでいただきたい。

 

「美しい風景は良い環境である」という言葉を今一度思い起こさねばならない。

※写真は湯布院にかかる霧

  • ケヤキの見える窓辺
  • お問い合わせ
  • 建築家×弁護士