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結露——換気を侮るなかれ!

2017年4月22日[ケヤキの見える窓辺]

最近教えてもらった実際にあったトラブルの話です。築15年を経過した木造2階建住宅での事故です。

 

通常は屋根の断熱は2階天井裏にグラスウールなどの断熱材を敷くことで対応する場合が多い。木造住宅の場合は陸屋根ではなく切妻や寄棟のどの勾配屋根がほとんどで2階の天井がフラットな場合は天井裏の小屋部分の空間が大きくなる。-

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結露という現象はご存じのように空気に含まれる水蒸気の量は限度があり、空気中の水蒸気が気体として存在できない水蒸気が水滴となる現象ですね。冬場になると昔のサッシだとガラス面に大量の結露が張り付いて下枠や床に流れ出すのをみたことがあると思います。

 

目に見えるところでは拭き取ったり、石油やガスストーブを消したり窓を開けて換気したりできますが、普段は目に見えにくいろころで発生したものはメンテできず長年にわたって放置することになり、カビや腐朽菌が発生して木を腐らしたり健康被害を及ぼしたりします。

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冬の室内の温度を仮に22℃とします。冬場の乾燥を考えて湿度を45%とするとこの空気の露点(結露が発生する温度)は大体10℃ぐらいです。冬場の外気は10℃を下回ることは多いのでこのままでは外気温に近くなる屋根の野地下は結露が発生する危険が高くなります。

 

これを回避するために小屋裏の換気が大切になってくるのです。冬場の大気は乾燥しているのですが湿度を室内と同じ45%とすると外気温が6℃の場合は露点が-5℃になります。大阪や神戸、東京、名古屋、福岡などは外気温が-5℃となることはほぼありませんので小屋裏に外気を入れて換気をしてやれば結露は防げるということになります。ただ100%換気することは不可能なので小屋裏の空気が結露しないように外気温より高い露点になるようにすればよい。室内と外気が混じって14℃(6℃と22℃の中間)の空気になったとすると60%の湿度以下なら結露はしないということになります。

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人が生活する場合寝ていて何も運動しない場合でもコップ1杯の水蒸気を体外に排出すると言われています。また料理などすると大量に水蒸気が発生します。つまり室内の空気をできるだけ小屋裏に来ないようにすることにより小屋裏の結露が防げるということで壁や天井に水蒸気が漏れないように防湿シートを敷いたりするとより安全側になります。もう一つは外気を導入して小屋裏空気の水蒸気量を減らすとより安全側になります。大阪などの都市では小屋裏の換気さえ十分気をつければ小屋裏で結露が発生する事故はほとんど発生しません。

※写真は滋賀 醒ヶ井の梅花藻

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