pagetop

BLOG

blog

家づくりのすすめ②——–土地選びのポイント

2016年11月9日[ケヤキの見える窓辺]

さて前回は土地探しの一般事項について述べましたがその土地を終の棲家の敷地と決定するまでには様々な検討項目があります。

 IMG_0150

1.地盤の良しあし

  既存住宅を建てたときの地盤調査資料はこの時点では手に入ることはない。その土地近辺の大まかな土地情報なら「ジオダス」で得ることができるが地盤良好と判断されたすぐ近くに軟弱地盤と判断される場合もあり絶対的な判断材料にはなりません。土地を購入して自ら地盤調査を実施するしか手立てはありません。

2.インフラ

  大都市では敷地の給排水の情報を公開している場合が多いので管径などの事前の確認はできる場合が多い。給水引き込み管の口径が小さい場合は一般的な引き込み管の口径のものを引き直すことになり、場合によっては100万円を超える費用がかかる場合もあるので要注意。今回の計画では敷地の南北に道路が走っていたが北側が市道で南側が私道であった。既存の家は南の私道に埋設されていた汚水管に接続されていたが敷地調査をして北側市道側に最終桝があり北側道路の汚水管にも排水経路があることがわかり今回の計画では北側道路の汚水管に接続することにした。理由は将来の汚水管の改修のさいに私道では権利関係がややこしいので将来起こり得るトラブルを避けるためであった。北側市道からの給水管の引き込み口径は一般的な口径であることを確認。ガス管も北側からの引き込み。雨水は南側の私道にある敷地に接続している側溝を利用することにした。

3.その他

  既存住宅の玄関は南側私道側にあった。北側の市道と既存敷地とのレベル差は30cm以上あり、駐車場スペースはありませんでした。敷地の高低差は北から海側に向かって南側に最大2mほどあり、この高低差をうまく計画に採り入れるために検討した結果、北側市道側に玄関をとり、車の出入りは南側からとしました。

 IMG_0165

さて問題は北側の市道と敷地とのレベル差を盛り土によって行いますが道路自体も東西で40cmほどの傾斜があり玄関のアプローチをどうとるかや高度地区でもあり平均地盤面の取り方によっても建物の配置や階数・高さにも大きな影響を及ぼすので詳細な検討を重ねました。地域によっては平均地盤面の取り方にも独特の決まりがあり今回は建物と隣地境界とは有効で50cm以上とらないと計画した建物規模を確保することは困難であることがわかりました。隣地とは1.5m以上の段差があり隣地と指定された離隔距離を確保しないと隣地の地盤面で算定することになり計画した建物が建てられないことがわかりました。

 

隣地との境界にある既存擁壁の処置も頭を悩ましました。敷地境界線から出入りがあり工事をするときにもトラブルが予想され、土地購入には擁壁工事をするための隣地との同意文書も付けてもらいました。

IMG_0155

既存の塀も要注意です。ブロック塀でも1.2mを超えるものは必ず補強しなければなりません。通常は控え壁をとるのでメンテの通路幅が狭くなり建物計画に影響します。既存の立派に見える塀も確認申請をするさいには安全であることを証明しなければならず、古いものは設計図も築造時の写真も計算書もない場合がほとんどで安全性の証明は困難を極めます。新築の建物設計には本質的な影響はないところです。

費用の問題もあり既存塀は傷んでいないのでそのまま利用したいという要望がほとんどですが安全性を証明するのに苦労します。

※写真は熊本の菊池渓谷

 

 

  • ケヤキの見える窓辺
  • お問い合わせ
  • 建築家×弁護士